中国で釣りに行った話 (上)
小生のワールドフィッシング編
東南アジアに旅行に行けば観光そっちのけで巨大ナマズを釣りに行ったり、オーストラリアでは釣りあげたら100万ドル貰えるタグの付いたバラマンディを探しに行ったりと趣味が高じて世界でもその名を轟かせる小生。
そんな小生もついに中国デビューである。
西側諸国では「極東の小さな島の釣師が大国Chinaへ殴り込み」と噂になっていた。
日本からも多くの応援の声があった。ありがとうみんな小生頑張るよ。
中国ってあまり釣りのイメージが無いかもしれないが実は人気。
例えば中国での釣りの大会、その名も「釣王」。
中国全土から集まった猛者たちがただ釣りをする大会なんだけど出場者の分母がデカいのでおそらく1回優勝すれば優勝賞金やスポンサー獲得、各地の講演会などで一生暮らしていけるレベルだと思われる。
日本でも釣りの全国大会はあるがそんな稼いだりするなんてまずあり得ない。
歴史は非常に古くからあり、中国史と釣りに纏わる言葉なんかもある。
諸君らも「太公望」という言葉を聞いたことがあると思う。たいこうぼう。
封神演義の主人公!でも意味はよくわからんという言葉。
さてここでクエスチョンです。
この「太公望」という言葉はどういった人のことを指す言葉でしょう。
テケテケテケテケテケテケテケテー
?「果たしてこの「太公望」とはどのような由来と意味があるのでしょうか。」
?「あのー、それは字面からだけで答えは出ますか?」
?「いえここはノーヒントでお願いします。」
?「ほなわからんわ~」
?「タイムアップです。それでは解答を見ていきましょう。坂東さんは『太った人』。それに野々村さん、東さんも同じく『太った人』。あなた方はやはり固まりますね。スーパーひとし君の黒柳さんだけ『釣り好きな人』ということですね。」
それでは行きましょう、世界ふしぎ発見ッ!
時は遡ること紀元前10世紀。
周の初代国王の文王。
戦とかも起こってっけどまぁ普段は暇な文王。
ヨドバシの抽選ハズレてプレステ5まだ買えないしNetflix大体観ちゃった文王。暇だな。狩りでも行くかってことで出発前に朝のテレビの占い見る感じで占いしちゃおっと。
「B型うお座の貴方、運勢は絶好調で1位、今日の獲物は龍でも虎でも熊でもなく、覇王を補佐する人物」
100%裏で部下が手を回してる。占いで覇王って何。仕込み感MAX。
しかし温室育ちで純粋な文王は「えッ!ヤバっ!マジ?」という反応。
占い1位だし覇王って多分俺の事だしめっちゃ良い部下できるっぽい。最高かよ。
ルンルン気分で文王は狩りに出かけると、道中で釣りをしているジジイを発見。
今朝の占いにもあったし、ちょっくらこのジジイと話でもすっかと談笑。
そういやこの辺にヤバめのジジイいるって噂を聞いてマジで気になってたんだよね。
文王 「うぃ~っす。釣れてんすか?つうかおっさん何釣り?バス釣り?」
ジジイ「水面に糸を垂らしているだけ故、何とせずとも善いのです。」
文王 「は?」
文王、ジジイの言ったことがイミフすぎてぴえん。でもなんかスゲェと感じる。
名を呂尚と言うらしくよくわかんないけどマジ賢そう。見た目の割にインテリっぽい発言のギャップで文王イチコロ。
文王、そういや昔、祖父ちゃんが「たぶんだけどそのうちすげぇ奴が出てきて国が栄えるわ」と適当言ってたことを思い出す。
占いも祖父ちゃんも言ってた。それにあの噂もあったしこの呂尚とかいうジジイがやっぱそれだわ!と大興奮。
文王はもうこの時点でこの呂尚というジジイを「先生」なんて呼んじゃう始末。
文王「呂尚先生まじスゲぇしちょっと一緒にオモシレー事出来んじゃね?ってインスピったんでバイト代めっちゃ出すからトゥギャりません?」
呂尚「ふむ、是もまた縁ゆえ。」
文王「は?なんつったの?やんの?やんねーの?どっちかわかんねぇんだけど。」
ついに出合った「太公」(文王)が待ち「望」んだ逸材の釣り好きジジイ呂尚。
こっから文王は呂尚を馴れ馴れしく「太公望」ってあだ名で呼んだことから派生して「釣り好き」という意味を待つようになったのです。
なので正解は「釣り好き」
?「と、いう事で黒柳さんだけ正解です。これで本日はパーフェクト賞も獲得致しました。この後のクイズに正解するとJALから『文化の香り、中国3泊4日世界遺産紀行』と『太子海公司の最高級茶葉セット』をプレゼント致します。」
?「それではラストミステリー、世界ふしぎはkk…」
これには裏話があって実はこの呂尚、実際は釣りをしていなかったのだ。
鈎もエサもつけていなくて、川の水面より上にその糸を垂らしていたのだ。
ド変態。
遠目で見れば釣りしてるジジイなのだが、よくよく見ると竿をもって糸を水面スレスレでキープしているという意味不明な奇行。しかも毎日。
完全にイカれである。
周りの人たちは頭がおかしくなったと噂をし、奥さんもドン引きで逃げてしまう。
それでも呂尚はこの変態行為を辞めなかった。
当然話題になり、町で噂の有名なヤバいジジイになったのだ。
最初はただ白い目で見られていたがそのうち違う見方をするものが出てきた。
野次馬「釣りしてるけど釣りしてない。なんなん?哲学的なやつなん?どっちだ?もしかしてなんか意味あったりすんの?修行?」
変態と哲学のスレスレのラインを攻めた行動なのではと物議を醸しさらに人気爆発。
夕方のワイドショーでも変態ジジイ特集が組まれたりして、なんと実は文王の耳にも入っていたのだ。
文王「プレステ5の予約全落ちしたんだけどマジ無くね?俺、王なんだけど。」
代官「それより文王聞いた?インスタとTiktokでめっちゃ見かけるんだけどなんか毎日釣りしてるけど釣りしてないヤバめのジジイがいるらしいよ。マジ哲学。やばいっしょ?深くね?」
文王「それはヤバい。たぶん絶対に賢い。微妙なとこだけどワンチャンある。」
代官「今度ザ・ノンフィクションにも出るらしい。」
文王「チャンス大城がやる奴じゃん!ヤバ!」
興味津々の文王は家来をパシって呂尚の所に行かせるが、全然相手にされない。
文王も小物を相手にしない呂尚を「マジぱねぇ」と評価。
今度暇があったら狩りのついでにそのジジイのとこ行ってみんべ!
そして物語は冒頭に戻る。
じつはこの変態イカれジジイと思われた呂尚、変なことして有名になり、実は一周回って「めっちゃ賢くて哲学的な感じじゃね?うちの参謀にでもしようや」となるように魚を釣らずに文王釣ろうとしてたんだよねっつー話。なんという後付け感。
ご都合主義過ぎて週刊少年ジャンプで10週連載ももたない作品レベル。
その後呂尚は文王の側近として殷をボコして斉の王様になってめでたしめでたし。
まったくユルい構成の逸話だ。
小生の脚色もグダグダで文王と会った時の呂尚ってたぶんそんなジジイじゃないだろうし文王も馬鹿丸出しでなくもっと綺麗で正しい話し方をしていたはずだ。
小話を世界ふしぎ発見で囲うにしても長らくあの番組見てないからよくわかんないわ。
前置きの小話が長くなったがこんな話が残っていることからも、中国では単なる狩猟ではなく文化として古くから釣りが愛されていることが分かってもらえるだろう。
みんな戻ってきて。文王とか呂尚の話じゃなくて小生の話だから。
そんな「太公望」な小生が日本人会で知り合った方々と釣りに行くよって話がしたいわけ。三文字のためにこんなに書いてしまった。
この先もこの文体だと厳しいので今日はここまで。仕切り直そう。
次回はちゃんと釣りに行きます。こうご期待。