帰国できないと困ってしまう話
いや参ったね。
元気してるだろうか諸君。
中国の小生は元気だよ。
会社書類に使う回転印の日にちを一気にまた半年くらいグリグリ早送りしたい気持ちを抑えて一日ずつ正しい日付で今日も押印している。えらいっしょ。大人だから。
その早送りがどこを目指しているかと言うともちろん一時帰国。当然。
なんだもう音を上げたかと言われそうだがそうではない。
諸々、帰国しないと面倒だったり快適な中国での生活を送れないのだ。
ついこの前困ったのはアマゾンプライム。
契約しっぱなしで中国に来てしまったが「VPNなんかを繋げてプライムビデオとか使えるしまぁ良いか」と継続延期に高を括っていたが先日突然、「再ログインしろ」というポップアップが出てきた。知らぬ間に勝手にログアウトさせられていた。
面倒だがPCの永久凍土のどこかに書き落としたパスワードをサルベージして入力。さぁログインしようというところで再びポップアップ。
「やっぱ登録電話番号にSMSで承認番号送ったから入力しろ」
いやムリだよ。
海外でローミングオフにしてるんだから。馬鹿かっつー話。
このためだけに一瞬でも海外ローミングオンにしたら溜まっていたデータが伸ばしたゴムが千切れたように一気に飛んできて瞬く間もなく破産するだろう。
「ゆるキャン」のシーズン2が始まったから1を見直そうと思ったがまたの機会にするかと中国生活で鍛えられた精神力で融通の利かないアマゾンの馬鹿UIに大人の対応をする小生。中国独自の理不尽を経験し、身に降る数多のクソイベントを振り払ってきた。なんて事はない。
しかし数日後、事態は急変した。
どのように知ったか覚えていないが極めて重大な事実が判明したのだ。
「したのだ」という普段使い慣れない断定形を使ってしまうほどのエマージェンシー。
2021/4月いっぱいでアマゾンポイント8,000ポイントが失効する。
余裕をぶっこいていた小生だが顔色が変わる。
何かの不幸で突如として8,000円が消し飛んだり、後輩の酒臭い小便を生成する資金にされたりする分にはダメージは少ないが期限によるポイント失効ともなると別だ。
アマゾンポイントの経済的価値は現金と同等又はそれ以下であるが「努力の結晶」という一面を持っている。現金も勤労という努力の結晶ではあるが、それは稼ぐ必要があり稼いだ金であってそれに値する労力は当然のものと考えている。
アマゾンポイントはそうではない。必要外の割と無駄な努力によって生まれた稀有なモノなのである。くだらないキャンペーンに登録したり他のショッピングサイトを切捨てコツコツと積み上げた。映画グラントリノでイーストウッドが長年大切に磨き上げた愛車のように育ててきた。
先ずはオンラインで問い合わせたが自動Q&Aに誘導されアキネーターのように「君の疑問はこれかな?」「ではこっちかな?」という問答を繰り返された挙句、答えには辿り着かなかった。
この世界に自動Q&Aで解決できる問題は一つもない。小生は断言する。
アマゾンのランプの魔人は使い物にならなかったので良識を持った社会人として禁忌としていたが海外通話契約をしている仕事用の携帯でアマゾンカスタマーセンターに国際電話することに。まぁいいっしょ。会社都合の駐在で困ってるわけだし。背に腹は代えられない。
8,000ポイント失効と国際電話のプレッシャーによる焦燥感が小生にいつもの2倍早口で喋ることを強いてきている。早期決着をつけたい。
小生「もしもしアマゾン?海外にいるからSMS確認無しでログインさせて。」
アマゾン「それは出来ない。電話番号が『住所』みたいな扱いになっていて貴殿はなにか申請するときに住所不定で受理されたことがあるだろうか。否、無いだろう。」
小生「たわけコロナで帰国が出来ずSMSが受け取れないから貴様にわざわざ国際電話で直談判しているだろう。少しは働け。」
アマゾン「ログイン無理。ならぬものはならぬ。帰った時にでもまた登録しろ。」
小生「、、、8,000ポイント失効しちゃう。」
アマゾン「、、、マジ?」
暫しの沈黙。
小生「アマプラ使えなくてもいいから小生の8,000ポイントは失効させるな。」
アマゾン「無理。自動で消えるから。」
小生「国際的な大企業が聞いて呆れる。未曾有のこの時期にマニュアル対応か。上のモンと替われ。話にならん。」
アマゾン「ぐむむ、、、」
激しい鍔迫り合いが続いたが小生の「ネゴ」、いや「ゴネ」によりコールセンターの担当は面倒臭さから波打ち際に打ち上げられたカニのように白目を剥き泡を吹いて地面に倒れた。
そしてその上司を引き摺りだすことに成功。
小生「話は大方聞いただろう。勝手にログアウトさせられて海外だからSMSでのログインが出来ない何とかしろ。おっとアマゾンポイントの件も忘れるなよ」
アマゾン「セキュリティはお前のアカウントの為や。そもそも海外からとか考えてないから。マイノリティに一々合わせてらんないよ。タオバオやれよ。」
小生「出来ない話な訳ないだろう。オタクらの遠隔ログインがセキュリティ上難しくても他に方法考えろ。最悪ポイントだけ守ってくれればいいから。ぐすっ。」
小生「コロナで帰れなくて大変なうえ、こんな仕打ち酷い。うえぇ~ん。」
ここで号泣し狼狽する見事なアクト。
清々しいほどの急ハンドルっぷりに情緒がぶっ壊れていると思われただろうが構わない。
アマゾン「、、、だったらいいでしょう。この守銭奴。今のアカウントはどうにも出来ないから貴殿が新しく別のアカウントを作ってそこに新たにアマゾンポイントを付与しよう。」
小生「おうそれでええわ。できるやん。話分かるやん。」ニッコリ
アマゾン「ただし今使ってるメールアドレスは使えないから。後からの変更も無理。メールアドレスは住所みたいなもんだから。」
小生「さっきオタクの部下は電話番号が『住所』って言ってたぞ統一しろ」
アマゾン「両方とも住所みたいなもんだから間違ってない」
小生「ばか!」
アマゾン「アホ!」
小生「まぬけ!」
アマゾン「ドジ!」
小生「でもアマゾンのためにわざわざアドレス一つ持つのは散らかるから嫌だな。」
アマゾン「まぁ待ってやるからゆっくり考えたまえ」
結局マジでゴネまくり同情を買うような形で一つ糸口を見つけた。
とりあえず失効してもこの電話の記録残しといてやるから8,000ポイントは心配すんなと言ってくれた。
もちろん会話は脚色モリモリなので実際アマゾンのスタッフはものすごい腰低く丁寧に気遣ってくれてたよ。サンキューなオペレーターのY本。あと上司。ポイント頼むわ。
なんだかんだこれで解決かな。
そうそうアマゾンの話したけど買えるものは多少高くても店舗で買おうね。もちろんアマゾンもいいけどさ早くて馬鹿安いから便利だけど。ポイント溜まるしね。でも僕たちの街にお店を残そう。その辺で買えないものだけネット使おうぜ。お前が使わなくてもアマゾンは潰れねぇから。
小生との約束だ。
こんな話が結構溜まっている。ネットバンキングやら何かしらのサブスクリプションなんかでSMSにパスワード送るわ!ってやつが多すぎてそろそろ片付けたいから一時帰国したい。
もちろん帰国の目途はたっていない。
オリンピックやるみたいだし。そこで増えたらまたお預けかな。
そして今日も回転印は一日だけ進む。