冷蔵庫で干物を作る。
”干物女とは恋愛を放棄、様々な事を面倒くさがる、適当に済ませてしまう女性のこと。”
要するに無気力なダメ女。
こんな様な形容詞にされてしまう干物ではあるけれど元来そんなダメダメなモンじゃなくて食物を熟成・長期保存させるための先人たちの叡智の結晶なわけで現代ならアンチエイジングとかシミ防止のための日焼け止めに近いんじゃないだろうか。
イノシン酸やグルタミン酸とか昨今の日本食ユネスコ無形文化遺産のニュースとかでチラホラ話題に挙がってくる「旨味成分」がギュッと凝縮されてもいるから尚更。
だから水産加工業界的目線から言うと「干物女」とはその辺に転がっている無気力灰色女よりも永作博美とか黒木瞳のような上手く歳を重ねて長い間人々を魅了するような女性を指すような意味なのである。おそらく。
まあでもそれは味とか性質であって見た目には確かに黒木瞳のような華はないのだけれど。
話が脱線してしまったが今回は自宅の冷蔵庫で黒木h…魚の干物を作ってみたという話。
冬だからね。我々人間もリスさんみたいに越冬するための食糧を保存しないとね。
今回は釣ってきたイサキで挑戦。
スズキ目の魚で南紀では非常に硬い骨があり骨が喉に刺さって死んだ鍛冶屋がいたことから「カジヤゴロシ」(鍛冶屋殺し)なんて呼ばれ焼いて食われてるのにまさかの殺人フィッシュ扱いされているコイツだが釣ると引きが強くアジなんかよりよっぽど釣りごたえがあるし食う分には癖のない白身なので鍛冶屋からは恨まれているかもしれないが釣り人からはそこそこに愛されている。
頭を落として内臓をとってバスっと真ん中で切っちゃう。骨のついてる方を干物に、ない方を刺身にすると丁度良い。
水分とってケースに並べて
重ねて
冷蔵庫に入れる。買い貯めたバターとか飲み物と一緒に干物を干す絵はなかなかカオス。ちなみに「冷風乾燥機を使用した干物」を文化干しと言うらしい。だから冷蔵庫干物も文化干しかな。
数分で身の水分が浮き出てくる。ナメクジに塩をかけると縮むそれだ。あれはナメクジ溶かしたりしてるわけじゃなくて体の内と外の浸透圧の差で水分が出てるのだ。
冷蔵庫生活四日目のイサキ。冷蔵庫から出すときに何故か小学生の頃読んだ本に出てきたアルプス氷河で見つかったアイスマンを思い出した。さすがに庫内の密度が高かったので乾きがまだよくない。途中天気のいい日に天日干ししたりするといいのかもしれない。
乾ききってない。が、焼いてみた結果。美味そうでしょ?美味いのよ。
インターネットで干物の作り方のハウツーを見ると風通しとか日差しがどうとか美味しい干物を作る為の方法がいろいろ載っていて今回の作り方だと半分くらいの正しい条件と作り方しかをしてないけどあまり遜色ない物が仕上がったので全然アリじゃないでしょうかね。冷蔵庫も魚の臭いはたしかにするけれど開けたら「うわ!クサっ!」ってなるほどでもないので冷蔵庫のスペースと好奇心があればお試しを。うちは兄が一人暮らしで使っていたサブ冷蔵庫を使ったので特に問題なし。
こんな感じで捌いて塩ふって冷蔵庫に入れるだけで干物が作れるなんてなかなか素敵じゃないですか。なかなか美味いし。
次はイカとかやってみたい。あとスペースがあれば巨大な鮭とか。